金沢大学人間社会学域学校教育学類附属特別支援学校(石川県)
都道府県名
研究開発課題
知的障害のある児童生徒に対する、小学校 教科(国語)の学習目標、内容及び指導方法、学習評価を用いた、通常教育との連続性の可能性とその具体的方策の探求、教育課程の検討。
研究の概要
障害者の権利に関する条約に基づくインクルーシブ教育システムの理念が提唱され、「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」において、障害のある者とない者が同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある子供に対し、自立と社会参加を見据え、その時々で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要であると示された。今般の学習指導要領の改正では特別支援学校の教育課程と小・中・高等学校の教育課程の連続性が重視されている。本研究ではインクルーシブ教育システムの実現を見据え、小学校等と特別支援学校との間の学びの連続性を実現するための教育課程の編成、教科の指導方法及び学習評価の在り方について探究する。
「これからの時代に求められる国語力について」(文部科学省,2004)の中で言語能力の充実について国語の教育を学校教育の中核に据えて、全教育課程を編成することが重要であると示されているが、知的障害のある児童生徒が自立及び社会参加する知識技能の一つとしても、とりわけ言語能力の充実が重要であると考えられる。そこで、上記探究にあたり、
①職業生活において必要性が高いと考えられる国語力について、企業や障害福祉就労系サービス提供事業所
(以下:福祉事業所)を対象にアンケートを実施し、その結果を整理する。
②①と本校の教育目標、各学部の教育方針を踏まえ、本校の児童生徒の「自立と社会参加に必要な国語力」を
設定し、国語科の学習を中心として国語力の充実と知識・技能の獲得を目指す。
③特別支援学校国語科の目標・内容と小学校学習指導要領国語科の目標・内容を比較分析して
相違点を整理し、必要に応じて小学校学習指導要領国語科の目標・内容に置き換えて指導する。
④国語科での学びを他の学習、生活場面で評価したり、活用や定着を図ったりする観点から、
他教科等の指導内容や授業時数の配当など知的障害教育における教育課程についても研究する。
知的障害の特性、個別の発達検査や学力検査の結果を踏まえて指導する。さらに学習者用デジタル教科書やICT機器の活用、内容に即した体験活動の実施など、指導方法を工夫しつつ効果的な指導法を探る。また、学習評価ついてはテストや成果物、ビデオ分析などを用いたパフォーマンス評価を行う。
以上の研究成果をもとに、特別支援教育の推進に寄与したい。