研究開発学校に関連する審議会答申等

○中央教育審議会第一次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」(抄)

平成8年7月19日

第2部 学校・家庭・地域社会の役割と連携の在り方

第1章 これからの学校教育の在り方
  1. (1) これからの学校教育の目指す方向
    1. ⑥ 教科の再編・統合を含めた将来の教科等の構成の在り方
      教科の再編・統合を含めた将来の教科等の構成の在り方について、早急に検討に着手する必要がある。そして、この問題の特質にかんがみ、検討の場として、教育課程審議会に、教科の再編・統合を含めた教科等の構成の在り方について継続的に調査審議する常設の委員会を設けるとともに、その審議の成果を施策に反映することが適当である。この調査研究に当たっては、国立教育研究所、大学、各都道府県の教育センターや民間教育研究団体等の研究者の研究成果、国立大学の附属学校や研究開発学校の実践研究などの様々な研究成果を適切に反映するようにする必要があり、また、その際は、大学等の研究者等によるカリキュラムに関する研究を一層推進するための積極的な支援措置を講じることが必要である。
 

○教育課程審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について」(抄)

平成10年7月29日

前文

教育課程の基準については、教育課程の編成・実施の実態等の調査・分析、教科等の構成の在り方などについての研究・実践等を踏まえて、不断に見直し、その改善に向けた検討を行っていくことが必要であると考える。このため、従来、基準の改訂時に必要に応じて設置されてきた教育課程審議会の在り方を見直し、これを常設化することが適当であると考える。

 

○中央教育審議会答申「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」(抄)

平成11年12月16日

第2章 初等中等教育の役割

第1節 初等中等教育の役割
  1. (3) 発達段階に応じた教育目標
    1. ③ 今後の検討課題
       初等中等教育段階全体を通して見れば,子供と社会の状況の様々な変化を考慮する必要がある。例えば子供の身体や精神の発達の早まりが見られる一方,生活の自律や進路選択の意識の面では自立が遅れる傾向にあると言われていること,高等学校への進学率が97%に達するなど後期中等教育が広く普及したこと,少子化の影響もあり,四年制大学・短期大学進学率が49%に達するなど急速に上昇していること,社会の成熟化に伴い産業構造の変化,生活文化水準の向上などが見られ,これを背景に国民のニーズの多様化が進展していることなどの状況が見られる。これらを踏まえ,幼児期から初等中等教育を一貫してとらえて各学校段階間の連携を一層強化するため,下記ア,イ,ウのような観点から,カリキュラムの一貫性,系統性をより一層確立するとともに,学校段階間のより望ましい連携や接続の在り方について総合的かつ多角的な観点から検討する必要がある。
       この点については,昭和46年の中央教育審議会「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」の答申において,人間の発達過程に応じた学校体系の開発を行うため先導的な試行に着手するよう提言がなされ,その後研究開発学校制度を設けて研究を行ってきたところである。今後この制度を抜本的に見直し,新しい教育課程や学校段階間の接続のモデルとなり得るよう,重点的な研究課題を集中的に実践研究する大型の研究開発学校を設け,これを活用して,より実践的な研究を行うことが適当である。
 

○中高一貫推進会議報告「中高一貫教育の推進について~500校の設置に向けて」(抄)

平成12年1月17日

Ⅲ 中高一貫教育の推進のための方策

2 教育課程の基準の特例の活用
  1. ① 中等教育学校及び併設型の中学校・高等学校においては、一般の中学校・高等学校にはない教育課程の基準の特例が設けられている。今後、中高一貫教育のねらいをより一層生かす観点から、この特例を活用した教育課程の編成・実施の工夫が望まれる。
  2. ② 今後、研究開発学校制度を活用して、中等教育学校及び併設型の中学校・高等学校の教育課程について設けられている特例を拡充することや、連携型の中学校・高等学校の教育課程に新たに特例を設けることについて検討する必要がある。
  3. ③ さらに、中高一貫教育の特長を最大限生かすため、研究開発学校制度を活用して、中学校の教育課程と高等学校の教育課程の相互乗り入れについて研究を行う必要がある。
  1. (1) 中等教育学校及び併設型の中学校・高等学校については、一般の中学校・高等学校にはない次のような教育課程の基準の特例が設けられている。
    1. ① 中学校段階
      1. (a) 各学年の必修教科の授業時数のうち、70単位時間以内の時数を減じ、その時数を必修教科の内容を代替することができる内容の選択教科の授業時数の増加に充てることができること
      2. (b) 外国語以外の選択教科については、各学年35単位時間を超えて、また、外国語については、各学年105~140単位時間の上限を超えて、各学校が必要な授業時数を定めることができること
      3. (c) 選択教科については、各学年とも、全ての教科を開設できること
    2. ② 高等学校段階
      普通科において、「その他の科目」(平成12年度からは「学校設定科目」)及び「その他特に必要な教科」(平成12年度からは「学校設定教科」)に係る修得単位数を30単位まで卒業に必要な単位数に含めることができること
 

○教育改革国民会議報告(抄)

平成12年12月22日

◎新しいタイプの学校(“コミュニティ・スクール”等)の設置を促進する

新しいタイプの学校の設置を可能とし、多様な教育機会を提供する。新しい試みを促進し、起業家精神を持った人を学校教育に引き込むことにより、日本の教育界を活性化する必要がある。

提言
  1. 私立学校を設置しやすいように、設置基準を明確化し、施設・設備の取得条件を緩和する。親の教育費負担の軽減に加えて新しいタイプの教育を実現するための私学助成を充実させる。
  2. 研究開発学校を地域指定できるように拡充し、地域との連携を図りながら新しい試みを実施する。
  3. 地域独自のニーズに基づき、地域が運営に参画する新しいタイプの公立学校(“コミュニティ・スクール”)を市町村が設置することの可能性を検討する。これは、市町村が校長を募集するとともに、有志による提案を市町村が審査して学校を設置するものである。校長はマネジメント・チームを任命し、教員採用権を持って学校経営を行う。学校経営とその成果のチェックは市町村が学校ごとに設置する地域学校協議会が定期的に行う。
 

○中央教育審議会答申「今後の教員免許制度の在り方について」(抄)

平成14年2月21日

Ⅰ 教員免許状の総合化・弾力化

3.教員免許状の総合化・弾力化の方向性
  1. (1) 幼稚園・小学校・中学校・高等学校免許状
    1. ② 中長期的課題
       今後,幼稚園・小学校・中学校・高等学校免許状の総合化について検討するためには,教員養成課程における要修得単位の単純な増加を避ける観点から,幼稚園・小学校・中学校・高等学校の教育要領・学習指導要領の構造分析を含め,それぞれの免許状を取得するに当たって履修すべき科目について固有の専門性を有する部分と共通する部分についての整理をすることが必要である。また,心身の発達や生徒指導等に関する部分について,子どもの発達段階から見て,幼稚園・小学校・中学校・高等学校の教員に共通の部分及び固有の専門性を有する部分の分析が不可欠である。そのため,今後,中長期的課題として,専門的・学術的な調査研究を進める必要がある。
       この幼稚園・小学校・中学校・高等学校免許状の総合化に関する専門的・学術的調査研究を実施するに際しては,現在研究開発学校において取組がなされている幼稚園・小学校,小学校・中学校の連携,中高一貫教育などの学校間接続に関する実践研究を一層推進するとともに,その成果を積極的に活用することが有益と考える。なお,中学校及び高等学校においては,免許教科の壁が教員の連携の障害となっているとの指摘もある。これについては,当面は学校経営や教育実践上の課題として克服することが重要である。
       なお,免許状の総合化の検討に際しては,現在,小学校免許状の「教科に関する科目」については,1以上の教科につき8単位以上,幼稚園免許状の「教科に関する科目」については,幼稚園の教育課程に教科がないにもかかわらず一種免許状では6単位以上修得することとされているが,小学校及び幼稚園の「教科に関する科目」を見直し,各教科の指導法と合わせて幼稚園教育要領及び小学校学習指導要領に即した内容を教授する新たな分野を設けて,その中において指導することとすることも課題となろう。
       これらの中長期的課題については,小学校における専科指導の充実,研究開発学校における幼稚園・小学校・中学校の連携や中高一貫教育などの学校間接続に関する実践的研究の推進状況及び後述する特殊教育諸学校の総合免許状の創設とその運用状況を見極めつつ,今後,取り組まれることが望まれる。
 

○「英語が使える日本人」の育成のための行動計画(抄)

平成15年3月31日

Ⅰ 英語教育改善のためのアクション

1.英語の授業の改善
【先進的な英語教育等の推進】
  • 研究開発学校制度の推進
    研究開発学校制度の中で、引き続き、小・中・高等学校等の英語教育に関する教育課程や指導方法などを開発する。
5.小学校の英会話活動の支援
【目標】
  • 総合的な学習の時間などにおいて英会話活動を行っている小学校について、その実施回数の3分の1程度は、外国人教員、英語に堪能な者又は中学校等の英語教員による指導を行う

小学校においては、平成14年度から順次実施されている新しい学習指導要領のもと、新設された「総合的な学習の時間」の中で、国際理解教育の一環として外国語会話等を行うことができるようにしており、新学習指導要領が全面実施となった平成14年度では、およそ5割の公立小学校で英会話活動が行われている。

「総合的な学習の時間」における英会話活動においては、単なる中学校の英語教育の前倒しは避けるとともに、教員が一方的に教え込むのではなく、児童が楽しみながら外国語に触れたり、外国の生活や文化などに慣れ親しんだりするなど、小学校段階にふさわしい体験的な学習活動を行い、積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲や態度を育成することが重要である。このため、下記のような施策を通じて、こうした取組の円滑な実施を推進する。

また、その際には、児童が異なった言語や文化などに触れ、興味や関心を持つことや、音声を使った体験的な活動を行うことが重要であることから、ネイティブスピーカーなど高い英語力を有する者の活用が重要である。このため、英会話活動を行う小学校については、その実施回数の3分の1程度は、ネイティブスピーカーや中学校の英語教員等による指導が行えることを目標に、下記のような施策を通じて、必要な支援を行う。

【指導方法の改善】
  • 小学校英会話活動推進のための手引の作成
    効果的な指導法や指導に当たっての配慮、中学校の英語教育を踏まえた指導の在り方など、小学校の英会話活動の指導に関する手引書を作成する。
  • 英会話活動の実施状況に関する調査の実施
    先述の英語教育に関する改善実施状況調査の中で、小学校の英会話活動の実施状況や内容などについて調査・公表し、一層の取組の改善に資することとする。
  • 研究開発学校制度の推進
    研究開発学校制度の下で、引き続き、小学校の英語教育に関する指導方法などを開発する。
【指導力及び指導体制の充実】
  • 英会話活動担当教員への研修の充実
    独立行政法人教員研修センターにより、英会話活動担当教員の指導者となる教員の研修を重点的に実施する。
    (平成15年度予定人数600人)
  • 経験豊かなALTの配置促進
    JETプログラムや特別非常勤講師制度等を通じ、中・高等学校等での指導経験を有するALTの小学校への配置を促進する。
  • 英語に堪能な地域人材の活用促進
    学校いきいきプランや特別非常勤講師制度等を通じ、海外生活経験等により英語に堪能な社会人や留学生等の活用を促進する。
  • 中・高等学校教員の小学校英会話活動への参加の促進
    平成14年5月の教育職員免許法の改正により、中学校又は高等学校の教諭の免許状を有する者が小学校の相当する教科及び総合的な学習の時間の授業を担当することができるようになったことを踏まえ、小学校の英会話活動の支援とともに小・中学校等間の連携を促進する観点から、小学校の英会話活動への中・高等学校教員の活用を促進する。
【小学校の英語教育の在り方に関する研究】
  • 教育課程の研究開発
    研究開発学校制度の下で、引き続き、小学校の英語教育に関する教育課程等を開発する。
  • 小学校の英会話活動の実情把握及び分析
    平成15年度中に、現行の英会話活動の実施状況について詳細な調査・分析を行う。
  • 今後の小学校英語教育の在り方に関する研究
    平成15年度に調査研究協力者会議を設置し、17年度までを目途として研究開発学校における研究実践の成果・課題の分析、児童の言語習得の特質に関する研究、諸外国の事例等の収集・分析など、今後、中央教育審議会における教育課程の基準の改善に係る審議において小学校の英語教育の在り方を検討する上で必要となる研究等を行う。
 

○「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」(答申)

平成20年1月17日

6.教育課程の基本的な枠組み

  1. (5) 教育課程編成・実施に関する各学校の責任と現場主義の重視
    (新たな研究開発学校制度の創設)
    • 他方、学校教育法施行規則や学習指導要領に規定されていない新たな教科の創設など学習指導要領等について特例措置を講じなければ実施できない構想について、一定の要件の下、所定の手続きを経て認められた場合に限り、学習指導要領によらない教育課程編成が可能となる仕組みもあり、具体的には、研究開発学校制度や構造改革特別区域研究開発学校設置事業(いわゆる「特区研発」などがある。
    • このうち、研究開発学校制度は、学習指導要領等の改善に資する実証的資料を得るため、文部科学大臣が学習指導要領等によらない教育課程の編成・実施を認める制度であり、今後とも学習指導要領の改善に資するために充実することが必要である。
    • 他方、特区研発は、構造改革特別区域制度を活用し、内閣総理大臣の認定により、学習指導要領等によらない教育課程の編成・実施を可能とする制度であり、結果として教育課程の編成・実施についての学校自身の意識を変えるとともに、地方自治体や社会の教育課程への関心を高める効果が生じている。この特区研発については、平成18年4月の閣議決定において、特区として内閣府に申請し、内閣総理大臣が認定するという手続きを経なくとも、文部科学省が直接申請を受け付け、審査、認定することにより、このような特例措置が可能となるよう求められている。
    • このため、公教育を担う学校が学校教育法や同法に基づく学習指導要領等にのっとって教育を行うことは当然であるが、新たな教科の創設などの創意工夫を、特例措置を講じてでも図りたいという構想とそれを実現する具体的な手段を有する学校や設置者からの申請について、学校教育法に規定するそれぞれの学校段階の目標や学習指導要領の定める各教科等の目標や内容等との適合性など一定の要件を満たす場合には、文部科学大臣の認定を経て特例措置を認める仕組みを導入する必要がある。